変わること変わらないこと

「ずいぶん、待ったよ」
「遅くなったね。去年に引き続き今年も遅くなった」
「去年は遅いなぁと思っていたら突然にやってきたからびっくりしたよ」
「そうだったかな。今年も早く来たかったけどなかなか進めなくて今になっちゃった」
「まぁ、座って。お茶をいれよう。最後の焼き芋とミルクティーを君と食べようと思って残しておいたんだ。体が温まるよ」

「ありがとう。ぼくも食料は準備してきたよ。みかんやお餅もあるよ」

二人はお茶やお菓子を食べながら、話をした。秋生くんは夏生くんとの卓球みたいな会話も楽しいけど、冬生くんとの訥々とした会話も大好きだった。

「ぼくそろそろ行かなきゃ」
「そうだね。引き留めてしまったね」

秋生君はだんだんと長くなっていく夜を日々感じてきたから、今冬生くんが感じている心細さは身に沁みてわかった。この宇宙でたった一人で長い長い夜を過ごすのは何回経験しても慣れるものではない。ましてや冬生くんが過ごす日々は一番おてんとうさまが顔を出すのが短い時間なので、尚更だ。
でも、冬生くんは知っている。冬生くんが過ごす時間は夜空が一番きれいだってこと。おてんとうさまとは顔を合わす時間は短いけど、おつきさまとはけっこう顔見知りだ。

「じゃあ、また、来年。元気でね」
「うん、元気でね。気をつけて。焼き栗をありがとう」
「こちらこそ、干し柿をありがとう」

赤いチョッキをきた秋生くんは木枯らしが吹く中リュックを背負って出て行きました。
冬生くんは秋生くんが淹れてくれたミルクティーのカップを手に持ったまま、しばらく暖炉の火をみつめていました。
パチッ。
暖炉にくべた木片が鳴る音を合図に冬生くんは立ち上がると、テーブルの上に残された秋生くんが使っていたカップやお皿を片付けて、リュックの中身を出して棚に並べていきました。
外は初雪がちらつき始めました。



神戸のマインドフルネス・ヨーガ   ヨガ処 つきよみひよみ

朝、陽が昇り一日が始まる。 夜、陽が落ち月が空に顕れ一日が終わる。 つきよみひよみでは誰でも、気軽に、生活の中に取り入れられるヨーガを実践し、心と体のセルフケアを提案しています。 まずは、体を動かして呼吸を感じてみませんか?