うっとりすること
先日、滅多に見ないテレビをつけると、パリコレの映像が目に入った。
美しいドレスを身に纏い、ランウエイを歩くモデル達。その斬新なフォルム、ユニークな素材、多彩な色が重なり合う。光を放つジュエリー。それらはわたしを夢見心地にした。わたしを夢見心地にするものは、なにもハイブランドのコレクションに留まらない。例えば、エミール・ガレが生み出す自然界の緻密で繊細な美の世界、伝統的な文様に彩られた日本の着物、茶屋街の芸妓が使っていた髪飾り、ラリックのランプや香水瓶などわたしを魅了するものは他にもある。
美術館や展示場でそれらを観ていると、いつまでもその世界に浸っていたいと思う。その場から離れたくない。それらはわたしをうっとりとさせる。ただ愛でるだけのもの。それを身につけるのでもなく、日々使うわけでもない。非日常の世界。
わたしは、そういうものを眺め、充電する。そういうものに触れると自分の中のひからびていたところが、熱を帯び瑞々しさを取り戻しふっくらとしてくる。
それらは空腹を満たさなければ、乾いた喉も潤さない。
それでも、ずっとそこに浸っていたいと思えるようなうっとりとした世界がなければ、わたしは生きていけない。
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