利休百首
マインドフルネスの講座で茶人千利休の話がありました。
茶道の原点は禅にあると言われていますが、その禅のベースはマインドフルネスです。
千利休は禅僧同様、マインドフルネスの実践者と言えます。
『利休百首』は茶道を学ぶ心構えを利休が句にして百首詠んだものです。
その中で
「何にても置き付けかへる手離れは恋しき人にわかるヽと知れ」
という句があります。
これは、水指などの茶道具を取り上げる時はごく手軽く取り、手を離す時には恋しき人に別れを告げる時のように余情をもたせて離していく、そうすると道具はしっかりと定座に据わり、無限の味が生じるといった教えです。
わたしは『利休百首』というものをそれまで知らなかったのですが、この句を聞いてなんともロマンチックな情感と思いました。
恋人と別れる時は、離れがたくその手の先に余韻を残しながら別れますよね。
別れた後も一緒に過ごした時間を思い起こしながら切ない気持になり、相手への思いをより募らせたりします。
利休自身もかつては想い人と逢瀬を交わし、別れ際には離れがたい心持ちになったのでしょうか。
利休の色恋についてはわかりませんが、その凛とした静謐な佇まいの内に熱く燃えたぎるような情感を秘めていたと思わずにはいられません。
『利休百首』、マインドフルネスの実践のヒントはもちろんのことですが、日々の生活の作法が美しい言葉でちりばめられている書なので、これから少しずつ読み進めていきたいと思います。
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