パワーストーンのブレスレット
10年ほど前まで左手首にパワーストーンのブレスレットをつけていた。
オーラソーマの勉強をしていた時、周囲には自ずとそういったことに詳しい人たちが集まり、“クリスタルヒーリング”のセラピストやその人に合ったブレスレットを作ってくれる人もいた。
あたしも、石の色やパワーに惹かれいくつか作ってもらった。
ラピスラズリやローズクォーツ、アメジストや水晶など色々な石をブレンドしてもらって、出かける時はつけて出かけた。
優しいパワーが欲しい時にはピンク系、元気が欲しい時にはイエロー系、気を静めたい時にはパープル系といった具合にその時の気分や用途に応じて使い分けていた。
時々、セージの煙に潜らせたり、太陽の光や月光にあてたりして浄化した。
しばらくはそんなことも楽しみつつ身につけていたけれど、次第につけなくなっていった。
なぜかは分からない。
出かける時には指輪とピアスは必ずつけていくけど、帰ってきたらまず一番にそれらを全部はずす。家に帰った時に体になにか装飾物があるのが落ち着かない。
クリスタルのブレスレットもその時にもちろんはずすのだが、次第に出かける時につけることさえしなくなった。指輪とピアスは相変わらず毎日つけるのに。
常に左手首に触れている感覚が気になり、違和感を感じ始めたのかもしれない。それとも石のパワーは自分にはもう必要ないと、心と体が手放したのかもしれない。
ある日、ヨーガ関係のシンポジウムが広島であり友人と一泊で行くことになった。
あたしはなんとなく、黒い石と水晶でできたブレスレットを選んでつけていった。
シンポジウムが終わり、街で食事をして、予約しているホテルに戻り、友達と少し話をしてベッドに入った。
友人の話によるとあたしは夜中に歯ぎしりと寝言でそれはそれは賑やかだったらしい。
自分ではうなされるような夢を見た記憶がなかったので「ええ!!そうなん!?ごめーん!」とか言いながら、ベッドで体を起こしふと見るとつけていたブレスレットのシリコンのワイヤーが切れて石がバラバラと体の下に散らばっていた。
あたしはそれを見て「!?ああ、こういうこともあるんやな」と思い、一つ一つ石を拾いながら「広島にはもう一度ゆっくり来よう」と思った。
神戸に戻り、拾い集めた石を持って須磨の海岸に行き「ありがとうね」と一粒一粒に声をかけながら海へ流していった。
砂浜に置いた石の小粒はウミガメの赤ちゃんがちょろちょろと海に流されていくように波打ち際で波にもみくちゃにされると慌てて海の中に消えていってすぐに見えなくなった。
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