そんなにパン、好きやった?
子供の頃はパンより米が好きだった。
食パンが食べられなかった。耳の部分をちぎって真ん中をむしって食べていた。母に「そんな、行儀の悪い食べ方しなさんな!」と叱られながら、ちぎった耳を甘いミルクティーに浸してぐちゃぐちゃにして食べた。そうやってなんとか一枚の食パンを口に流し込んでいた。
でも、今は美味しいパン屋(今は“ブーランジュリー”boulangerieというのだろうか)ができたと聞けば嬉々として出かけていく。神戸は美味しいパン屋さんがたくさんあるのでこと欠かない。
連休に神戸駅前のビルに阪神間のパン屋さんが出店すると聞いたので、ワクワクしながら出かけた。おなじみのパン屋さんから大阪、京都、奈良から来ているパン屋さんなどいろんなタイプのパン屋さんがあった。あたしのお目当ては平野区から来ているハード系の天然酵母のパン屋さん。知らない店だけどチラシを見て決めた。
10時オープンで、10時45分くらいに着いた。
もう、すでに並んでいる、並んでいる。
並ぶのは覚悟の上だったので列の後ろに並ぶと、女の人に「ここじゃないです!あっちです!」と言われ、「?」と思ってその人が指す方向を見ると、トグロが2重巻いている。その一番後ろに最後尾の看板をもったスタッフが立っていた。あたしは知らずにその女の人の前に並んでしまったのだ。それにしてもコワい顔してたな。やれやれ。
並ぶこと30分。だんだん順番が近づいてきた、と同時にどんどんパンの数が減っていく。だんだん近づく、どんどん減る。ドキドキする。
順番が回ってきた時には三種類の食パンが少しだけ残っていた。お店の人は、「すみません、もうこれだけしかなくて…」と。後ろを見ると二十人くらいは並んでいるだろうか。「おひとり様一個でお願いします」…とは言われなかった。あたしは三個買った。天然酵母のプレーンとくるみ入りそしてヨーグルト菌の食パン。
後ろの方に並んでいた人たちは「商品が品切れとなりました」と言われていた。オープン一時間半で完売。
他の売場を見ても、似たような状況だった。スタッフの人が「申し訳ございません」を連呼している。みんな、前からこんなにパン好きやった?なんか、すごない?
今朝はその戦利品のパンに、先日買ったローズマリーのはちみつとりんごのジャムをのせて食べた。ああ、美味しい!!!夜はチーズやシャルキュトリーをつまみに食べてもいいかも。ワインは白かなぁ。
至福の時間。小さなあたしのしあわせ。
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