断捨離なんてつまらない
確かこの辺に置いてあったと思う。
実家に帰った時、机の引き出しや物入れや書棚をゴソゴソと探す。
二十数年前にフランスに1年ほど滞在していた時につけていた日記だ。
思い当たるところを探すが、ない。
やっぱり、捨ててしまったのだ。あああ。
小学校の時に書いていた日記、中学校の時に書いた詩を綴ったノート、子どもの頃に親に買ってもらった本や絵本、中高生の頃に読んだ本、大人になって読んだ本、映画のパンフレット、家族や友人とやりとりした手紙など。
全部捨てずに、捨てられずにとっておいた。
それを、一度、いわゆる「断捨離」をしたことがある。
フランスから帰ってきて、しばらくして昔の日記を読み返してみた。
20代の数年間の日記だ。その数年間、わたしは希望を見出しては絶望していた。文句をいい、怒り、逃げ、嫉妬し、自己卑下を繰り返していた。
自分の弱さ、傲慢、高慢、無気力ばかりが目について、おそろしくつまらなかった。途中でため息をついてノートを閉じた。
それと、自由になりたくて買い漁った本。「カフェ開業マニュアル」や「小さな雑貨店を始めよう」や「事業計画書の作り方」から哲学、スピリチュアル系、セラピー系の本が山積みになっているのを見て、頭ばかりが大きくなった自分の無力さを感じた。
夢ばかりを語り何ひとつ実らせていない自分。
移り気で言い訳ばかりしている自分。
できないのなら、「やりたい」などとは二度と言わないでおこう。
実現できない夢は、もう語らないようにしよう。
と、心に誓ったのだ。日記も本も捨ててしまおう。
でも、それから数年経った今、その誓いはいとも簡単に破られた。
無理。そんな誓い、わたしにはもともとできない誓いなのだ。
「やりたいこと」があれば、囁きながらもそれを表明したいし、
「夢」を語らずに生きていくことなんてできない。
世界は「夢」で出来ているから。
既にわたしたちは夢見の状態だから。
だから、これからも「夢」みたいなことばかり言うし、真剣にふざけていく。
で、この前、パリに住むMちゃんと話していると、フランスは物価が高くて、ふつうのからあげ弁当が日本円で1200円くらいすると言う。
カフェやレストランも高くて、滅多に外食はしないらしい。
へぇ~と思い、二十数年前のフランス滞在日記はお小遣い帳も兼ねていて当時買ったモノの値段が書かれている。あの頃のサンドイッチやタバコはいくらだったけ、と確認したくなり日記帳を探すことになったのだ。
で、探したけど、ない。
他のものと一緒にポイしてしまったんだろう。悔む気持ちはあるけれど、仕方がない。
今度、フランス滞在日記を書いたら、その時こそは捨てずに置いておこう。もう、葬り去りたい過去にはならないから。
と、また夢みたいなことを~と言われるかもしれないけど、そう、それもあり。また、フランス滞在日記、書くかもね。
この度の誓い。
もう、日記は捨てない。本はブックオフに売らない。
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