サマー・オブ・ソウル
映画『サマー・オブ・ソウル』を観た。
ウッドストックが行われた同じ年にニューヨークのハーレムである歴史的な野外コンサートが開催された。“ハーレム・カルチャラル・フェスティバル”。
黒人による黒人のためのフェスティバル。
でも、その中にはもちろん白人も、プエルトリカンもいる。
そして、会場には老若男女問わず観衆がひしめき合い、みな、体を揺らし、踊り、歌い、聞き入り、涙する。木の上から見ている人、肩車されて見ている子供。誰もがこのフェスティバルを楽しみにしていた。そして演奏するミュージシャン達も。自分が知っているミュージシャンはスティービー・ワンダーとスライ&ザ・ファミリーストーンとBBキングくらいだったけど、もう、みんな、すごかった!!!
苦しみや悲しみから生まれる彼らの歌、叫び、リズム、グルーブはヒートアップするほどに浄化され輝いていく。映画の中でも語られていたけど、それは黒人のルーツであるアフリカンが儀式で踊り、歌い、憑依していく姿に共通する。
彼らの神様への祈り、信仰は絶大なるものだ。それをはずしては、彼らの音楽は成り立たない。奴隷という歴史、今でも残る差別、それらは負のものであり、悪のものだ。でも、苦しみ痛みを知り、大きな壁のシステムと闘ってきたからこそ、こんなに魂に響く美しく誇り高い音楽を作り出せたのかもしれない。
肌の色、言語、ルーツを超えた人間の内にある尊厳、源に触れる。音楽ってやっぱりいい!!改めてそう思う。以前に「音楽を聴くという習慣がない。音楽が無くても生きていける」と言う人がいて、その人はあまりにも寂しい人だと思ったけど、やっぱりその人はあまりにも寂しいし残念な人だなぁと思う。
映画の中で観客、プレーヤー共に思いっきり歌って踊っているのを見て、切なくなった。一日も早くこんな風に音楽を楽しめる日々が戻ってくることを願う。
50年間封印されていたこのフィルムが今回、公開されたことにリスペクト。
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