伊勢に

毎年、恒例の伊勢詣。今年も行ってきた。

前日にふと「今年は内宮から参ろうかなぁ」と思い立ち、いつもは外宮から詣でるところを、今回は逆回りに。

五十鈴川駅で降りて、まずは月讀宮へ。


「ヨガ処 つきよみひよみ」という名前を決める時に、真っ先に思い浮かんだのが「月讀宮」だった。
「月讀宮」は内宮から少し離れたところにあり、ひっそりとした入口から木々に囲まれた小石の道を歩いて行くと左手の奥に4つの祠が見えてくる。
昨年1年の感謝と新しく始まったこれからの1年間の気持ちを報告する。
こちらの宮の空気は静謐で優しく女性性を強く感じる。名前のせいか、子宮の中をイメージしてしまう。それぞれの祠の前に立つとそれぞれに感じるものがあるのだけど、今年は”月讀荒御魂宮”から強いエネルギーを感じた。強いといっても激しいものではなく心地よくてずっとそこに居たい感覚。一通りお参りしてから、他の参拝客を見計らい、もう一度それぞれの祠の前に立ち、しばし味わう。どんだけ好きやねん!

それから歩いて猿田彦へ。

みちひらきの神様。昨年は、ひとつの目標があってそれを成し遂げることができた。その感謝をご報告。おみくじは毎年ここで引くことに決めている。昨年は大吉だったけど、さて、今年は……末吉!…。「小舟が思わぬ風にさらされる危険がある。用心して色ごと慎み忍耐せよ」みたいなことが書かれていた。ただ、旅行と出産は良し案ずるなかれ!と書かれていて、出産って!?。いやいや旅の方です!おみくじのご神託から、これは自分ではどうしようもできないようなことが起こるのかもしれないと思い、ここは神頼み。お守りを買う。

さて、次は内宮へ。

おかげ横丁を通って行った。なんとなく気分が重たい。なんで?そう、さっき猿田彦で引いたおみくじのことが頭の中に引っ掛かっていた。また、いつもの悪い癖でくよくよ考えてしまう。
「やっぱり外宮から参ればよかった…」
「忍耐の1年なのかな?」
「大きな失敗をするのかな」
でも、
「大丈夫!お守りも買ったし!」と気持ちを逸らせながら、五十鈴川の橋を渡って砂利の道をどんどん歩いていく。途中、川でも手を清めて大きな木の中を歩いていく。黙々と歩いているうちに不思議な感覚というか、いや、感覚ではないな、思考でもない、どう言えばいいのか。体が自分のものではない感じ、そして思考はただの思考。「わたし」は朝から電車に乗って、神戸から伊勢に移動しているけど、わたしの、というか「わたし」という所有もなく、実体はなんら動いていない。「自分」で切符買って、電車乗って、ここにいると思っているけれど、本質はどこからも来ないし、どこにも行かない。気分や感情などの心の動きもただのエネルギーで、肉体も思考もただ動かされているだけ。すると、今、歩いている「自分」と思っている肉体がびょーーーんと離れて、小さくなった自分が一生懸命砂利の道を歩いているのが見えた。ただそれだけのこと。そして、内宮に到着。やっぱり天照大神は光り輝いていたのでした。太陽神。太陽礼拝。
さぁ、後は外宮のみ。バスに乗って内宮へ移動するのだけど、ここで気になるのがおかげ横丁。さっき猿田彦から来る時に横目でお店は見ていた。毎年、来たら立ち寄る「白鷹」の立ち呑みも…。今年は外宮を残しているから飲酒はどうしようかなぁと思ってたんだけど、やっぱり気になる。フラフラと足はバス停ではなく「白鷹」の方に向かう。これも動かされているのか(笑)。老人会で来たというお父さんが横で飲んでいて、少し話す。毎年、この時季にバス旅行でお参りにくるらしい。バスでもビールを飲んだというお父さんはいい感じにできあがっていて、
「お一人で?」
「そう、毎年一人で」
「じゃあ、来年も会えるかなぁ。あなた、お若いでしょう?」
いやいや、あたしゃ、若くないですよ!帽子で顔が隠れていたか?そのお父さんは76歳だという。もう少し若い紳士なら…と思いながら
「じゃあ、お先です~」
と言って店を出た。さて、いよいよ外宮だ。


着いたのは午後3時頃だったろうか。いつも来る午前中に比べると人が少ない。やっぱり普通は外宮からお参りするんだろうな。でも、人が少ない分、ゆっくりとお参りができた。土宮、風宮と参って、多賀宮でお参りをするときに、小銭入れがないことに気づいた。さっき、落としたかなぁ…、中身はほとんど入ってなかったし、失せ物はみつからないってことだし、なんて思いながら、下に降りたら見張りの人に聞いてみようと思い、
「すみません、この辺で小銭入れ、落ちてませんでした?」
と聞くと、そこにもう一人参拝者のような男の人がいて、その人が手にしているのを見るとあたしの小銭入れ!
「あっ、それです!」
と言うと、見張りの人が
「今、この人が持って来てくれたんですよ」
と言われ、
「ありがとうございます。どこで落としてましたか?」
と、聞くと
「そこの階段のところで…」
とニコニコ笑顔。黒の細身の皮ジャンを羽織って、千鳥格子のパンツ姿。年の頃は50代後半くらいだろうか。ぱっと見た時、誰かに似てると思った。ええと…あっ、なにわ金融道?の竹内力!もちろん、あんな深い眉間の皺はないけれど、竹内力を温和にした感じ(笑)。あら、ちょっと素敵な人!でも、その人はそのあと見張りの人と話をしていてあたしは重ね重ね礼を言い立ち去った。帰り道、竹内力と「白鷹」のお父さんが入れ替わってたらどうなってたかなぁなんて考えた。

と、今年の伊勢詣でした。
今回は逆回りしてみて、やっぱり外宮から回った方がいいかな、って思った。まずは外宮の男性性(と、あたしが勝手に思っている)にお参りしてから内宮の女性性(とあたしが勝手に思っている)をお参りする方がしっくりくる感じ。それからおかげ横丁をひやかして、猿田彦に行って、最後は月讀宮で締める、が落ち着く感じ。

今年は色々な事情で、1月の伊勢詣は無理かなぁと思っていたけど、やっぱり行けてというか、行って良かった。行く度に自分の中で発見があり、あたしにとっては伊勢詣は瞑想の時間でもあるのだと改めて思った。
今年はどんな年になるのでしょうか。
楽しく幸せに暮らしたいと思うのは誰しもが願うことではあるけれど、楽しい!幸せ!っていうだけではなく、楽しいことも辛い(?)ことも良いことも良くないことも、いい悪いで判断せずに、その向こう側というか深層部にある本質を見るようにしたい。別の言い方をすれば、それは神様の仕業であり、神様は時々いたずらを仕掛けてくるので、心と体はそれを享受しさえすれば良いのでは、と思う。

そんなことやあんなこと、色々考えた今年の伊勢詣でした。

神戸のマインドフルネス・ヨーガ   ヨガ処 つきよみひよみ

朝、陽が昇り一日が始まる。 夜、陽が落ち月が空に顕れ一日が終わる。 つきよみひよみでは誰でも、気軽に、生活の中に取り入れられるヨーガを実践し、心と体のセルフケアを提案しています。 まずは、体を動かして呼吸を感じてみませんか?